その動きはまさに司令塔
サッカーにおける『司令塔』という言葉を体現していたプレーヤーは、シャビ・エルナンデスの事ではないだろうか?
彼は、試合中に視界に入るものは全て記憶しながらプレーを行っていた。中盤のプレーヤーとして、味方選手の動きは前方の視界に入る選手だけではなく、後方の選手までも頭に入れながらプレーをしていたのである。
ボールを貰う前から、敵味方選手の動きを察知し、その状況に応じ、ボールを動かし配球を行う。言い換えれば、テレビ画面上で試合を見ている様な感覚で、プレーを行っているのだ。
ピッチ全体を俯瞰しながら、攻守において最適な選択肢を無駄なく行う。口で言うのは簡単だけれども、実際に体現するのは非常に困難であると思う。
バルセロナの様なチームでプレーをするという事は、肉体的にも精神的にも非常に負荷が掛かるという事を意味している。そんな状況でも、集中と冷静さを保ち、頭脳を常に働かせるという事は通常の選手ならば、相当に疲弊すると思う。
シャビは肉体的にはあまり優れている選手ではない、体格に優れた相手選手からボールを保持する為には、高いレベルの駆け引きと技術、運動量が要求される。
バルセロナの場合、マークを引く付ける為に意図的に相手選手が密集する場所でパスを受ける様にしている。シャビは密集地帯でボールを保持する時は体格的な不利をカバーする為、高度なテクニックを駆使していた。
局地的にボールを保持する事に集中を費やしながら、ピッチ全体の敵味方全選手の動向も頭に入れていたというのだから、驚きを隠さずにはいられないのだ。
精神的な消耗は正直、凄いものだと思う。だけれどもシャビは90分を通して、プレー精度が落ちている事を見たことがない。試合が終了するまで、集中を途切れさせる事なく、ピッチ全体を俯瞰している。まさに司令塔である。
正確な把握能力
洗礼されたスキル
相手のマークを一瞬で外す瞬発力、受けたボールをシンプルかつ的確にさばく状況判断力や高いパス技術など、洗練されたスキルを持つ世界最高の司令塔の一人。ボールキープ、ポジショニング、パスセンス、キックの精度、視野の広さ、どれもが世界最高クラスと言われ、それゆえ常にピッチ上で戦略の要となる。僅かなすきを見つけては針の穴を通すようにボールを送り、攻撃を加速させるスルーパスは圧巻の一言。常に相手DFの逆を突く意識でピッチを動き、ボールを奪われる場面など皆無に等しい。また、味方からパスを引き出す能力も高い。